新卒採用戦略に関して

本記事では新卒採用の戦略設計に関して解説致します。

昨今の新卒採用市場は「コロナに伴うオンライン化」「経団連ルールの廃止」「新興媒体の出現」等様々な外的要因から従来の採用方法では立ち行かなくなりつつあります。

単にオンライン採用に切り替えたり、採用時期を早めるだけでは良い人材を採ることが出来なくなっています。

こうした市場を踏まえて、最適な新卒採用戦略の設計方法について具体的なサービスや事例も交えてご紹介していきます。

今後の採用戦略設計にあたりご参考にしてみて下さい。

新卒採用戦略の設計方法

新卒採用に限らず、戦略を設計する上ではフレームワークを活用して進めることが大切です。

主観や固定概念に縛られずに最適解を導き出すには様々な観点から分析を行った上で戦略を立てるべきです。

そこで新卒採用戦略にあたり大切なフレームワークを3つご紹介します。

新卒採用の外部環境を分析(PEST分析)

PEST分析とは政治、経済、社会、技術の4つの観点から外部環境を分析するフレームワークです。

4つの観点から外部環境に潜む自社への影響を整理することで戦略設計に活かすことが出来ます。
実際に新卒採用戦略におけるPEST分析は下記のような概要となります。

政治:政府が継いだ経団連ルールの廃止
→早期から内定出しを行う企業が現れることにより就活の早期化の可能性有
※新卒採用のスケジュールに関してはこちら「新卒採用スケジュールについて│最新トレンド(就活生/企業の動向)を解説」
経済:求人倍率と大学生の動向(求人倍率は上昇傾向にあり、学生の総数はほぼ横ばい。)
→今後の新卒採用は従来よりも難易度が高まるという仮説が立てられる
※引用:リクルートワークス研究所 「第35回ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」
社会:新卒一括採用の形骸化/JOB型雇用への以降
→高専や専門、既卒、第2新卒など「新卒」にとらわれない採用形態が起こり得る
技術:DX化に伴うオンライン採用への以降
→説明会や選考活動、広報などをオンラインへの以降が必須

新卒採用における自社の立ち位置を分析(3C分析)

3C分析とは、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)を分析する

フレームワークです。

どのような戦略が市場や顧客にマッチし、競合他社との差別化を図れるのかを分析することが、3C分析の目的です。

新卒採用戦略設計においても下記の分析を行うことが必須になります。

1,自社が求めるターゲット(Customer)は「いつごろ」「どのような志向性」「どのような企業」の選考に進んでいるのかを把握

2,自社の採用における競合が「いつごろ」「どのようなチャネル(媒体やエージェント)」を使い「どのような訴求」をして採用を行っているのかを把握

3,上記①、②を踏まえて競合との差別化を図り、顧客に対してアプローチする戦略を立てる。

新卒採用における自社の特徴を分析(SWOT分析)

SWOT分析とは、競合や市場などといった自社を取り巻く外部環境と、自社を構成する内部環境をそれぞれプラス面、マイナス面にわけて分析するフレームワークです。
下記の4つの文字の頭文字をつなげ、SWOT分析と呼ばれております。

Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)

出来るだけ主観的に決めるのではなく、数値やデータを用いると、より正確な分析ができるので主観を排除した分析を心がけましょう。

新卒採用戦略における目標設計

新卒採用戦略を立てる上で最も大切なことは適切な目標設計です。

『新卒を採用する目的を明確化できているか?』といった点から考えることが重要です。

新卒採用に限らず、中途採用や配置なども含めて『会社として目的を達成するためにどんな人材が必要か』を経営戦略で考える視点を持ちつつ新卒採用戦略を立てることに必要になってきます。

こうした前提のもとどのように目標を立てるべきかといった点を解説していきます。

要員計画

「要因計画=採用計画」ではありません。
「採用計画は要員計画の枠の中」で考えることがポイントです。

企業は「要員計画」を実現する一つの手段として「採用計画」を立てます。
要員計画とは「一定期間において必要な人員を確保するための計画」です。
ここで大切な考え方が要員を確保する手段は「採用」だけではない前提を把握することです。

「採用」以外には下記の3つの手段があり、それぞれ優先順位があります。

最優先「配置転換」:最も簡単でコストがかからないため。

第2優先「育成」:コストは抑えられる一方、時間がかかり即効性がない。

第3優先「採用」:コストと人材リソースがかかる。長期的に自社の資産に繋がる。

第4優先「外部委託」:コストと人材リソースがかかり、人員の成長に繋がらないため自社の資産にならない

上記4つの観点を持ちつつ要員計画を最適な手段を講じて設計することが大切です。

続いては、「採用」において必要な人数を算出した後にどのような人材を採用するべきかという考え方について解説致します。

求める人物像の設計

求める人物像の設計方法は大きく分けて下記の2つあります。

自社の事業や組織を分析して求める人物像を導き出す「演繹的アプローチ」
自社で成果を上げている人材を分析し、彼等が持つ能力や性格、志向を抽出し求める人物像を導き出す「帰納的アプローチ」

それぞれの考え方は特徴があり事業フェーズによっても向き不向きがありますので解説します。

「演繹的アプローチ」は事業を遂行する上で導き出した「理想像」です。
そのため実際に事業を行う上で想定していなかった必要な能力が欠けているリスクや、そもそも労働市場には存在しないなどとった要素が挙げられます。
一方、「帰納的アプローチ」では自社内にある「現実のモデル」です。
そのため演繹的アプローチに挙げられるリスクが生じることはありませんが、ある特殊な環境や個人に依存している可能性があるため再現性が少ない可能性があります。
事業が不安定な場合や帰納的アプローチでは不充分なリスクがあります。
そのため、事業環境が安定している企業は「帰納的アプローチ」が有効で、事業環境が激変している場合においては「演繹的アプローチ」が有力です。

採用チーム戦略

一般的に人事担当者は心根が優しく、受容性の高いタイプが多いです。

そして人間は自分と同じタイプの人間を評価する傾向があるため受容性の高いタイプばかりを採用してしまう可能性が高いです。

あくまで上記は一例ですが、特定のタイプの人事が集ったチームを編成すると一辺倒な人員に偏った採用を行ってしまいがちです。

そのため、極力タイプの違う人事を集いチームを結成する、若しくは現場担当を多く巻き込み様々な視点から採用活動を行うことが大切です。

母集団形成の新卒採用戦略

母集団形成の手法は多くのサービスが乱立しており様々な選択肢があります。
従来から存在しているエージェントサービスやナビ媒体から近年ではダイレクトリクルーティングやSNS採用など多様な採用手法が生まれています。

(SNS採用に関する戦略設計はこちら)

しかし、大きく分けると企業から候補者にアプローチする「PUSH型採用」と候補者からのエントリーを待つ「PULL型採用」の2つの採用手法に区分されます。
ナビ媒体やメディアのようなPULL型はマスに向けて告知を行うことが出来る施策のため低単価で採用を行うことが出来ます。
しかし、知名度がない企業においては応募が全く来ないことや多く応募がくる場合や工数がかかる点が挙げられます。
一方、PUSH型の採用手法はターゲット学生にアプローチを行うことが出来るため自社を見ていなかったような潜在層へリーチすることが可能です。

しかし、手間がかかるため非効率な点がデメリットになります。
こうした特徴を纏めた表がこちらになります。

自社の環境に応じて最適な母集団形成施策を実行することが大切です。

面接の質を向上させる新卒採用戦略

面接を行う上で大切なポイントは2点あります。

1点目は適切な観点からポテンシャルを見抜くことです。
2点目は選考フェーズごとに見るべきポイントを整理することです。
それぞれ詳細について解説していきます。

まず1点目のポテンシャルの見抜き方についてですが、ポイントは抽象的な内容や主観を省き、客観的な事実を基に判断することです。
自己PRや志望動機などの主観はポテンシャルを見抜くうえでは必要ありません。
ポテンシャルを見抜く際は過去のエピソードを深ぼることが最も大切です。
また、過去のエピソードにおいても「1人で頑張ったこと」や「短期間での取り組み」などはビジネスに転用しづらいため「人と関わって頑張ったこと」や「長期間に渡る取り組み」などを深ぼって聞いていくことが大切です。

2点目の選考ごとに見るべきポイントを整理する上での概要をご紹介します。
一般的には初期選考時はまずは「能力」のみにフォーカスすることが大切になります。
続いての中間選考においては自社の理念に共感しているかなどといった「パーソナリティ」にフォーカスすることが重要です。
初期選考から中間選考においては応募者は玉石混交のため比較検討が容易なはずです。
また判断に迷った際は次の選考に上げて他のポイントを踏まえて判断していくことが大切になります。
そして最終選考では「能力」と「理念」が自社に適しているため不合格にする理由はほとんどありません。そのため最終選考時には応募者の志望度と他応募者との相対評価を行うことが重要になります。

新卒採用戦略纏め

新卒採用戦略に関しての設計方法や考え方のご紹介は以上となります。
様々な外的要因から今後の新卒採用はより困難になりそうと思われた方も多いはずです。
新たなチャネルが創出され、多様な選択肢が選べる今の時代だからこそ「待つ採用」から「攻めの採用」に転換することが採用成功に繋がるはずです。

是非本記事を通じて今後の採用成功、及び貴社のさらなるご発展に繋がれば幸いです。

Nu Realizeでは採用戦略設計のコンサルティングから実行支援、採用代行、人材紹介など新卒採用に関する一連のご支援を行っております。

採用活動に課題を感じられている場合は一度お気軽にご相談下さい。